オックスフォード大学主催の第1回サステナブル・ファイナンス・サミット(年4回開催予定)が開催され、フランクリン・テンプルトンのグローバル・サステナビリティ戦略チームから、アン・シンプソンとピアーズ・ヒュー・スミスが参加しました。この会議では、最先端の学術研究者と政策立案者、専門家、市民社会団体が一堂に会し、サステナブル・ファイナンスの現状を検証し、さまざまな資産クラスやサステナブル・ファイナンスで新たに生まれたベストプラクティスを評価しました。

2日間の日程は、グリーンボンド、物理的リスクモデル、生物多様性の動向、気候変動訴訟などに関する最新の技術研究について深く掘り下げたものとなっており、その中でも特に注目すべき2つのテーマをご紹介します。

アンは、アセットマネジメント業界における利益相反と、投資家に対する透明性を維持するためにガバナンスがいかに重要であるかをテーマに、パネルディスカッションを行いました。アンは、「運用会社が企業の年金基金の運用を競う際に、投資対象企業の取締役に対して気候変動リスクに基づいて投票を行うか?」という質問に対する回答の中で、次のように強調しました。「もし、この社会が私たちのお客様の資産を管理する者、そして受託者としての能力に依存しているならば、私たち自身が監視される必要があります。それゆえ、ガバナンスの課題も同様に重要なのです。それが、私たちのコミュニティにおける次のプロジェクトだと考えます。」

利益相反の訴え

利益相反を開示し、リスク管理の枠組みの正式な一部として、適切な投資家ガバナンスを構成することが求められています。ブラックロック社のインベストメント・スチュワードシップ責任者であるSandra Boss氏は、気候変動関連の投票との利益相反は日常的に全く確認されていないと述べた一方、Maastricht大学のRob Baur氏は、「我々は良い仕事をしていることを信じなさい訴えるのではなく、我々が何をしているのかを開示すべきである」と反論しました。

気候変動訴訟の利用拡大

会議では、19歳の活動家Linus Steinmetz氏から、ドイツ対Steinmetzのケースについての発言もありました。今年1月24日、環境団体Deutsche Umwelthilfe(DUH、ドイツの環境活動)の支援を受けたドイツの未成年者と若者のグループが、ドイツの改正連邦気候保護法(「Bundesklimaschutzgesetz」または「KSG」)に対する憲法上の異議を申し立てたというものです。

原告は、KSGが修正した温室効果ガス(GHG)排出削減指針は、ドイツの憲法および国際的な法的義務を踏まえると不十分であると主張しました。最終的に、この訴訟は勝訴し、ドイツの気候変動目標は不十分であると認められ、2030年の国の削減目標は55%から65%に引き上げられました。その根拠は、適切な目標が設定されていないため、気候変動の影響が適切に緩和されず、炭素削減の負担が将来の世代に転嫁された場合、若者の人権が侵害されるリスクが生じるというものでした。

気候変動訴訟は、NGOやその他の活動家が企業や政府に対してより高いレベルのコミットメントを得るための提起、ひいては行動を起こすための新たな手段として、ますます効果的になってきています。企業分野では、Milieudefensie et al v. Royal Dutch Shell plcの例を挙げることができます。最終的な判決は、パリ協定に基づき、シェル社は2030年までにCO2排出量を2010年比で45%削減し、2050年までにゼロにすることを課すというもので、この訴訟の根拠もやはり、民間企業が気候変動のもたらすシステミック・リスクに対処しなかったことにより、注意義務や人権義務に違反したというものでした。

こちらから同サミットの動画をご覧いただけます。

明らかにやるべきことはたくさんありますが、気候変動訴訟という手段は、公正な移行に関連するエンゲージメント活動に優先的に取り組む企業を明確にする上で、非常に有益なものです。Climate Action 100+が言うように、「追跡しないものは解決できない」のです。

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