豪州政府は約1.2兆円規模の財政刺激策を公表
豪州のモリソン政権は3月12日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う豪州の景気減速懸念に対応するため、新たな財政刺激策を公表しました(図1)。
今後5年間の財政刺激策の総規模は176.3億豪ドル(約1.2兆円)で、豪州の年間GDPの0.9%に相当します。
豪州の景気後退は回避される公算が高まる
豪州政府の戦略は、まずは2020年6月末までは景気後退回避のため、即効性の高い中小企業や家計向けの資金支援に注力する考えです。続いて、2020年後半~2021年前半には、設備投資促進策や地域・産業への支援策などを通じて、景気回復を一段と促す方針です。
2020年6月末までに実行が計画される政策は109.5億豪ドル(約7,665億円)と全体の約6割を占めています。各種資金支援策は主に3月31日から4月中旬にかけてなされる計画です。豪州財務省の推定によれば、2020年4-6月期の豪州の実質GDP成長率は財政刺激策によって1.5%押し上げられると見込まれています。
2020年1-3月期の豪州の実質GDPは森林火災とコロナ・ショックの影響からマイナス成長が不可避とみられていますが、今回の財政刺激策によって景気後退が回避される可能性が高まったと考えられそうです。
野党や格付会社は財政刺激策に好意的な評価
野党・労働党はモリソン政権の財政刺激策に対して支持する方針を示しており、今後、議会で法案のスピード承認がなされると見込まれます。
また、格付会社S&Pは、「新型ウイルスに対応した短期的な財政刺激策は豪州のAAA格付にとって差し迫った脅威とはならない」と政策を容認する見方を表明しています。
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