新型ウイルスの世界的感染拡大への懸念広がる

2月24日の世界の株式市場では、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大への懸念から主要国の株価指数は軒並み全面安の展開となりました。

新型コロナウイルスの感染が急拡大した韓国やイタリアなどを中心に株安が広がり、投資家心理の悪化から米国株も前週末比3.4%の大幅な下落となりました(図1)。

韓国、イタリア、イランなどで感染者数が急増

2月24日の世界的株安の発端となったのは、韓国やイタリア、イランなど一部の国での新型コロナウイルスの感染急増にあると考えられます。

世界保健機関(WHO)によれば、韓国での新型コロナウイルスの累積感染者数は2月下旬から増加し始め、2月24日には763人(7日前比+733人)へ急増しました(図2)。

また、これまで感染がほとんど確認されていなかったイタリアやイランでも先週末から感染者数が増加傾向にあり、2月24日時点のイタリアの累積感染者数は124人(同+121人)、イランでは43人(同+43人)となりました。

WHOは韓国等での感染拡大を地域的流行と評価

このほか、日本でも新型コロナウイルスの感染者数は緩やかな増加傾向にあり、2月24日時点の累積感染者数は韓国に次ぐ144人(同+85人)に拡大しました。一方、アジア諸国の中でも、シンガポールや香港では感染が抑制される傾向にあるなど、国や地域に応じて新型コロナウイルスの感染の程度には依然大きな開きがあります。

WHOのテドロス事務局長は2月24日の会見で、足元での韓国・イタリア・イランでの新型ウイルスの感染拡大は「パンデミック(世界的な大流行)」には至っておらず、「エピデミック(地域的な流行)」に留まるとの評価を下しています。

米ドル独歩高の裏側で豪ドル相場は軟調に推移

また、年明け以降の為替市場では、米国経済は新型コロナウイルスの感染拡大からの直接的な影響を受けにくいとの観測から、米ドル独歩高の基調が強まりつつあります。

足元の米ドル独歩高の裏側で豪ドルなどの通貨が米ドルに対して軟調に推移するなど(図3)、新型コロナウイルスの問題は為替相場にも副次的な影響をもたらしています。

中国での感染拡大は既に最悪期を脱しつつある

もっとも、新型コロナウイルスの感染源とみられている中国では、既に感染拡大は最悪期を脱しつつある模様です。

中国国家衛生健康委員会によれば、統計の基準変更による一時的な異常値を除けば、中国での新型コロナウイルスの新規感染者数は2月4日の3,887人をピークに減少傾向にあります(図4上段)。

さらに、2月下旬以降は新規の完治・退院者数が新規感染者数を上回る傾向にあり、新型コロナウイルス感染の治療にも一定の成果が見えつつあります。中国での新型コロナウイルスからの完治・退院者数(累積ベース)は2月24日時点で27,230人に達しており、累積感染者数の35%程度は回復に向かっているとみられます(図4下段)。

当面の世界の金融市場の注目点

当面の世界の金融市場では、①新型コロナウイルス問題の震源地である中国での感染抑制傾向が今後も維持されるかどうかや、②韓国やイタリア、イラン、日本などその他の国での感染拡大に歯止めがかかるか(新型コロナウイルスの世界的な大流行が回避できるか)、などに注目が集まりそうです。

向こう数週間から数カ月の各国政府による感染防止策が功を奏し始め、世界的な新型コロナウイルス問題に終息の目途が生まれれば、市場心理の悪化によって売り込まれた各国株式や通貨にも見直しの余地が生まれる可能性もあると考えられます。

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