2023年12月

ジョン・バルディ
クリアブリッジ・インベストメンツ、ポートフォリオ・マネージャー

重要なポイント

  • 2023年の米国株は好調に推移してきましたが、限定された銘柄、いわゆる「マグニフィセント・セブン」(アマゾン、アップル、アルファベット、メタ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ)が上昇を主導してきました。
  • 我々の運用戦略は、上昇相場での追随と同時に、不確実な市場でのリスク軽減に重点を置き、景気変動に耐えうる企業の株式を選好します。
  • 我々は、目先の配当利回りを最大化することのみを目指すのではなく、現在の配当利回りと配当成長のバランスを重視します。インフレ環境下では、インカムの成長は購買力を守るために極めて重要となります。

底堅い米国経済と限られた銘柄が主導する株式市場

投資家は2023年を通して、米国が景気後退に陥り、米国連邦準備制度理事会(FRB)が2023年後半には利下げを開始すると予想していました。しかし、FRBは利下げを行わなかったばかりか利上げを行いました。2023年第3四半期の経済成長は記録的な強さでした。このようにマクロ経済の状況は変化しており、依然として流動的です。2023年の米国株(S&P500指数)は、好調なパフォーマンスとなっています。しかし、アマゾン、アップル、アルファベット、メタ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラといったいわゆるマグニフィセント・セブンが株式相場上昇の主導権を握っています。2023年9月30日時点で、マグニフィセント・セブンはS&P 500の時価総額の約 25%を占めており1、これら7社のうち、配当を支払っているのはアップルとマイクロソフトの2社だけです2

市場リスク

集中リスク
S&P 500構成銘柄の上位5位までの構成比率合計
2023年9月30日現在

出所:S&P、ファクトセット、ブルームバーグ。2023年9月30日現在。 過去のパフォーマンスは将来のリターンを予測するものではありません。インデックスは運用されておらず、インデックスに直接投資することはできません。重要なデータの提供元の注記及び条件についてはwww.franklintempletondatasources.comをご参照ください。

我々の分析では、米国は2024年に穏やかな景気後退に陥る可能性が高く、FRBは市場の予想よりも長い期間、高い金利水準を維持すると見ています。また、米国株式のバリュエーションは依然として高く、FRBがインフレとの戦いを続ける中、低下する可能性が高いと考えています。

不確実な市場におけるリスクの削減

我々はマクロ経済データに重点を置くのではなく、予期せぬインフレ、デフレ、経済成長、景気後退、高金利、低金利など、様々な環境下においてうまく機能するよう、ポートフォリオを設計しています。経済の嵐を乗り切れると思われる企業の株式を選好しています。とりわけ、我々の戦略は弱気相場やより不安定な市場においてリスクを軽減することを目的としています。我々のアプローチは、強固なバランスシート、低水準のレバレッジ、耐久性のある収益源、高い投下資本利益率、そして厳しい市場環境を乗り切ることができる幅広い競争力を備えた企業に投資することです。相場の上昇局面では、あらゆる資産のリターンが上昇しますが、我々の戦略の根底とする保守的な姿勢は、2023年に見られたような加熱した市場においては遅れをとる傾向があることを意味します。

裏を返せば、我々の戦略は、株式市場の調整が深まれば深まるほど、より大きなリスク軽減効果を提供できると考えています。要するに、我々の戦略はS&P 500ほどグロース志向ではなく、同業他社ほどバリュー志向でもありません。

インカムとインカムの成長への注目

我々の戦略のもう一つの特徴は、目先の配当利回りの最大化のみを重視したポートフォリオを設計するのではなく、現在の配当利回りと配当成長のバランスを追求することです。企業が利益とキャッシュフローの成長をどのように株主のインカム収入の成長につなげることができるかを見極めることが重要だと考えています。最近のインフレの高まりは、インフレ環境において購買力を保護する上で、インカムの成長がどれほど重要であるかをはっきりと思い出させるものでした。 我々がインカムの成長に焦点を当てるのは、インフレがこの先もどのように推移するかわからないという理由もあります。我々が追求する現在の配当利回りと配当成長の組み合わせには、変動配当も考慮に入れます。例えば、企業は基本配当の支払いに加えて、特に業績が良いときに追加の変動配当を支払う場合があります。石油や天然ガスなどのコモディティの価格が上昇した2022年は、この分野の企業のキャッシュフローがより大きかったため、一部のエネルギー企業はより高い水準の変動配当を株主に還元しました。コモディティ価格が調整した場合は、これらの企業は、基本配当を損なうことなく、変動配当を減らすことができます。

このような変動配当がなかったとしても、そして米国で景気後退が起こったとしても、企業の配当性向は深刻な影響を受けることはなく、依然として成長する可能性があると我々は考えています。

企業が持つ増配余力

出所:シラー、ロバート・J・シラー。イェール大学経営学部。2023年9月30日現在。過去の運用実績は、将来の運用成果を保証するものではありません。インデックスは運用管理されていないため、直接投資することはできません。重要なデータの提供元の注記及び条件についてはwww.franklintempletondatasources.comをご参照ください。

おわりに

我々が目指しているのは、配当利回りと配当成長の組み合わせを通じて魅力的なリスク調整後リターンを提供できる、質の高い高配当の株式ポートフォリオの提供です。

注記

1.出所:S&P、ファクトセット、ブルームバーグ。インデックスは運用されておらず、直接投資することはできません。インデックスには報酬、経費、販売手数料は含まれていません。過去のパフォーマンスは将来の結果を示すものではありません。その他のデータ・プロバイダー情報については www.franklintempletondatasources.com をご参照下さい。

 2.エヌビディアの名目配当は非常に少なく、配当利回りは0.03%です。

リスクについて

すべての投資には、元本を割り込む可能性を含むリスクが伴います。株式は価格変動の影響を受け、投資元本を割りこむことがあります。配当金は変動する可能性があり、保証されているものではなく、企業はいつでも配当金を減額または配当を中止することができます。

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