豪ドル相場は円やユーロに対して上昇基調を維持
足元の為替市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ観測や世界的な景気後退リスクへの懸念などを背景に、米ドル独歩高の様相が強まりつつあります。主要通貨に対する米ドルの総合的な価値を示す米ドル指数は、2002年以来の高値を更新中です(図1上段)。
こうした中、投資家のリスク回避姿勢の影響を受けやすい豪ドル相場は米ドルに対しては弱含みの傾向にあります。一方、豪ドルは金利差や景況感の面で優位にある円やユーロに対しては、上昇基調を維持しています(図1下段)。
豪州の景気後退リスクは主要国の中で最も低い
そもそも、足元で市場のリスク回避の主因となっている景気後退リスクは国・地域によって一様ではありません。
今後12ヵ月先の景気後退確率の市場予想を国・地域毎に比較してみると(図2)、ロシアからの天然ガスの供給停止リスクに直面する欧州で特に景気後退の可能性が高まっているほか、FRBの大幅利上げの影響への懸念から米国の景気後退確率も33.0%まで上昇しています。
一方、豪州の景気後退確率は15.0%に留まり、主要国の中で最も景気後退リスクが低い国とみられています。今後、欧米景気の不透明感が増す局面では、景気の安定性が豪ドル相場の見直し要因となる可能性がありそうです。
豪州経済の底堅さを支える家計資産の健全性
こうした豪州経済の底堅さを支える背景として、家計のバランスシートの健全性の高さが挙げられます。豪州の家計が保有する総資産は2022年3月末時点で17.7兆豪ドル(約1,650兆円*)に拡大しており、家計債務(2.8兆豪ドル)を大きく上回っています(図3)。豪州準備銀行の利上げに伴う住宅価格の調整の可能性に対しても、豪州の家計バランスシートは余力を残していると考えられます。
(*)為替換算レート:1豪ドル=93円
また、豪州の金融政策が引き締め型に転換する中、財政政策による公共需要(政府支出+公共投資)が豪州景気の下支え役として浮上しています(図4)。生活費高騰に直面する家計への支援策の面で、労働党政権が10月に公表する政府予算案にも市場の注目が集まりそうです。
ご注意事項
- 当資料は、説明資料としてフランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。
- 当資料は、当社が各種データに基づいて作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。
- 当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証するものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。
- この書面及びここに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で配布することはご遠慮ください。
- 当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。