高い人口成長という豪州とインドの共通点

豪州とインドには、人口成長を原動力とした経済発展が期待されるという共通点があります。主要国の2050年までの人口見通しを比較すると、インドでは安定的な人口増加の継続が見込まれる一方、豪州では移民流入を背景にインドを上回る人口の伸びが予想されています(図1)。

自由貿易協定の締結で深まる豪州とインドの関係

こうした高い人口成長が見込まれる豪州とインドの経済・外交関係は、近年強化される傾向にあります。

豪州とインドの関係強化の動きは、コロナ禍の2020年6月に両国が経済連携協定の交渉再開で合意したことがきっかけとなりました(図2)。その後、豪州とインドは2022年4月に「経済協力・貿易協定(ECTA)」と呼ばれる自由貿易協定の早期締結を実現させました。同協定が発効した2022年12月には豪州のインド向け財輸出の85%以上の品目の関税が即時撤廃され、さらに5%の品目の関税が2~6年かけて段階的に撤廃される計画です。

近年、豪州の輸出先としてインドの存在感が増しつつあり、2022年にはインドは豪州の輸出相手国として第4位(シェア4.7%)に浮上しました(図3)。インド政府の推定によれば、2022年に発効した自由貿易協定の効果により、豪州とインドの二国間貿易の取引額は今後5年間で約6割増の450億米ドルに拡大することが見込まれています(図4)。

インドからの移民が豪州の経済発展を下支え

人の移動の面でも、豪州とインドの交流関係が活性化する兆しがみられます。過去1年間の豪州への外国人短期訪問者数を比較すると、日本や中国などアジア諸国からの訪問者数の回復が遅れる中、インドからの訪問者数はいち早くコロナ前の水準を回復しています(図5)。

また、2022年発効の自由貿易協定には、「豪州に留学中のインド人学生は、卒業後に豪州で1年半~4年の就労ビザを取得できるようになる」などの優遇措置が盛り込まれているほか、近年は高度技能を持つインドからの移民流入も拡大しており、豪州の経済発展を支える上でインドからの移民の重要性は今後も高まりそうです(図6)。

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