重要ポイント

MichaelClarfeld、CFA(クリアブリッジ・インベストメンツ マネージングディレクター、ポートフォリオマネージャー)

  • 2022年は資本市場にとって厳しい環境でしたが、配当株の多くの強みが浮き彫りになり、年間を通じて無配当株と債券を上回るパフォーマンスとなりました。
  • 経済は減速していますが、我々は引き続き今後の配当の成長を確信しています。保守的な配当性向は、収益の伸びが鈍化あるいはマイナスになったとしても、企業が増配を続けられるだけの十分な余地を有していることを示唆しています。
  • 忍耐強く保守的な配当投資家として、我々は、インフレ圧力を相殺し収益性を維持するために価格を引き上げることができる、価格決定力のある企業に引き続き注目していきます。

配当の上昇はインフレのマイナスの影響を相殺し、購買力の維持に効果的

2022年は資本市場にとって厳しい環境でしたが、配当株の多くの強みが浮き彫りになり、年間を通じて無配当株と債券を上回るパフォーマンスとなりました。(図表1)。

2022年に配当成長株を支えた原動力の多くは、2023年もそのまま残っています。第一に、配当株は、不安定で不確実な市場において、荒れた海の中でインカムという浮き輪にしがみつく投資家による下支えされることにより、堅調に推移する傾向があります。第二に、インフレ懸念が依然存在する中で、債券のようにクーポンが固定されていない配当の増加はインフレの影響を相殺し、購買力を維持するのに役立つため、配当成長株はインフレ環境下において底堅い動きとなります。

金利の上昇と経済の減速により、多くの人が景気後退に向かうのではないかと考えています。金融政策は遅れをとっており(米国連邦準備制度理事会(FRB)によるここまでの利上げの影響はまだ十分に反映されていない)、金利は予想よりもさらに上昇する可能性があります。

予測が困難な中、このような激動で不確実な局面においては、配当成長株は特に魅力的と考えています。配当成長株は、現在のインカムだけでなく、ダウンサイドのプロテクション、インフレへの対応、さらに期待以上の環境が整った場合にはキャピタルゲインも提供する可能性があります。いずれにせよ、市場のボラティリティがなくなることはないでしょう。

経済は減速していますが、我々は引き続き今後の配当の成長を確信しています。概して、保守的な配当性向は(図表2)、収益の伸びが鈍化あるいはマイナスになったとしても、企業が増配を続けられるだけの十分な余地を有していることを示唆しています。

我々は、配当性向が40~50%の企業をターゲットにする傾向があります。この水準は、株主への配当が健全であると同時に、企業の成長のための資金として、また特に、厳しい時代における安全のための余力として、利益を相当量保持していることを示唆しています。

経済への逆風が強まっていることが明らかで、今後も景気減速が続くと予想される一方で、2023年の基本シナリオは緩やかながらプラス成長を見込んでいます。中古車や家具などのインフレ率は低下しており、過去18ヶ月間に起こったサプライチェーンの混乱は解消されつつあります。中国のコロナ規制が緩和されれば、世界の需要と供給は共に改善に向かうでしょう。

忍耐強く保守的な配当投資家である我々の観点では、配当に関する投資戦略も同様で、インフレ圧力を相殺するために価格を引き上げ、収益性を守ることができる価格決定力のある企業に注目します。我々は、金利上昇の恩恵を受け、堅調な労働市場が信用の質を高く保っている金融セクターを引き続き評価しています。また、エネルギーセクター全体の堅調さと一部のエネルギー企業の財務健全性を考慮すると、エネルギーセクターは配当リターンに大きく貢献すると引き続き考えています。

配当株は2022年に時宜を得た資産クラスとなりましたが、2023年も2022年と同様の不確実性と課題(インフレ率の上昇、金利の上昇、収益への圧力)が存在しており、我々は配当株が2023年も魅力的な価値を提供すると分析しています。我々は、配当株投資をエバーグリーン戦略(長期的に有効な戦略)として捉えています。5年後、7年後といった絵空事ではなく、現在のフリー・キャッシュ・フローを評価することで、一貫性があり、価値が高く、成長しているキャッシュフローを有している優良企業を購入する、これが投資の核心だと考えています。我々は、忍耐強く、規律正しく、保守的であり続け、長期的にリターンを積み重ねていくことを目指します。

どの年も市場を予測することは困難ですが、配当株投資は長期的に健全な戦略であると我々は考えています。2023年が2022年の再現となり、さらに景気後退が加わるとすれば、配当株は同様の市場の支持を得ることができると思われます。また、市場が予想以上に堅調に推移した場合、配当株は相場回復にもうまくついて行くと思われます。

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