2023年12月

ティム・ワン、Ph.D.
クラリオン・パートナーズ、マネージング・ディレクター、インベストメント・リサーチ・ヘッド

ジュリー・ローモント
クラリオン・パートナーズ、リサーチ・オフィサー

マクロ見通しはポジティブ

2024年に向けて、金融引き締めや地政学リスクの高まりはあるものの、米国経済は底堅く推移しています。個人消費は堅調で雇用は増加しています。2023年9月末時点で、インフレ率は2022年半ばのピークから大幅に低下しており、現在のトレンドが続けばFRBは2024年に金融政策を転換する可能性があります。その場合、金利環境は緩和され、資本市場は安定すると見られます。

資金調達コストの高騰は不動産取引の大きなハードルとなっています。また、売り手の希望する売却額と買い手の希望する購入額にも大きな乖離が生じています。加えて、不動産ローンの満期が相次いで到来しているため、借り換えリスクも大きくなっています。一方で、ドライパウダー(投資されていない待機資金)1は記録的な規模にまで膨らんでいます。クラリオン・パートナーズでは、2024年に不動産価格はより安定すると見ており、投資家心理が改善すれば、より多くの不動産取引が実施されるようになると考えています。

収益不動産のファンダメンタルズは健全

オフィス、大型ショッピングモール、一等地小売店舗を除けば、全体として米国不動産の需給ファンダメンタルズは健全であると考えています。ほとんどのセクターで賃料は過去最高水準に近く、空室率は低水準となっています。銀行などの融資元が保守的になっているため新規着工件数は大きく減少しており、2025年から2026年にかけて新規供給は穏やかになり、賃料は今後も上昇すると見られます2

産業不動産の見通しでは、クラスAの倉庫スペースに対する需要は引き続き強く、空室率が記録的な低水準であることから、産業不動産の賃料伸び率は他のセクターを上回ると予想されます。分譲住宅では値ごろ感が失われていることから、賃貸住宅への需要が高まっています。新規供給は2024年以降減少する見通しのため、やはり集合住宅の賃料の伸び率は強くなると予想されます。商業施設では、過去数年間、オープンエア型ショッピングセンターの新規供給が抑制されていたため、アベイラビリティ率(入居可能率または空室率)が20年来の低水準になっており、商業施設の今後の賃料上昇に良い環境をもたらしています。他方、より多くの資金が新興のオルタナティブ不動産に流入しています。トランクルーム(セルフストレージ)、ライフサイエンス、戸建て賃貸は、安定した賃料収入と低いボラティリティという伝統的なコア不動産物件の特性を有しています。

クラリオン・パートナーズは2024年も引き続き、優良資産への逃避、住宅不足、値ごろ感の喪失、サンベルト地域への人口移動、Eコマースの普及、高齢化、イノベーション経済、サステナビリティといった投資テーマに注目していきます。

今後の見通し

非上場不動産運用は、これまで長期にわたって魅力的なリスク調整後トータルリターンを提供してきました。クラリオン・パートナーズでは、2024年の見通しについては慎重ながらも楽観的に見ています。現在の市場の混乱は、今後1年から1年半の期間に魅力的な投資機会を創出する可能性があります。潜在的な投資リスクとしては、インフレ率の上昇、長期金利の上昇、景気後退の可能性などがあります。そのため、投資家はマクロ動向を注意深くモニタリングし、新規投資については保守的なスタンスとし、選択的に資本投下することが賢明だと考えます。

注記:

  1. 出所: Preqin、2023年11月
  2. 出所: CBRE、米国国勢調査局、2023年11月

リスクについて

すべての投資は、元本割れの可能性を含むリスクがあります。投資の価値は下がることもあれば上がることもあり、投資家が投資した全額を取り戻せないこともあります。

株式は、個々の企業、特定の産業やセクター、または一般的な市場環境に影響を与える影響によって、急激かつ劇的に変動する場合があります。

国際投資は、通貨の変動や社会的、経済的、政治的な不確実性などの特別なリスクがあり、これによりボラティリティが増加する可能性があります。これらのリスクは、新興市場で増幅されます。

商品および通貨は、市場、政治、規制、自然条件など、より高いリスクを含んでおり、すべての投資家に適するとは限りません。

不動産投資戦略の関連リスクには、物件の稼働率、営業費用の変動、賃貸契約内容の不確実性など、不動産所有に特有の様々なリスクが含まれますが、これらに限定されるわけではありません。これらのリスクは、全体的な経済状況や地域経済、物件の供給と需要、ゾーニング法規、賃貸管理法、固定資産税、資金調達の可否とコスト、環境法規、そして保険でカバーされない損害(通常は地震、洪水、戦争などの大規模な災害によるもの)などによって影響を受ける可能性があります。

米国債は、米国政府の「全面的な信頼と信用」によって発行され、裏付けされた直接債務です。米国債が満期まで保有される場合、米国政府はその元本と利息の支払いを保証します。米国債とは異なり、連邦政府機関および関連機関が発行する債務証券および関連する投資は、米国政府の全面的な信 頼および信用によって担保されている場合とされていない場合があります。米国政府が証券の元利払いを保証している場合であっても、その保証は証券の市場価格の下落による損失には適用されません。

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