豪州準備銀行の利上げ停止が視野に入る

豪州準備銀行(RBA)は3月7日の理事会において、市場予想通り0.25%の利上げを決定しました。RBAの利上げは2022年5月から10会合連続となり、政策金利は3.60%へ引き上げられました。

今回の理事会の声明文において、フィリップ・ロウ総裁は「さらなる金融引き締めが必要になる」と述べるに留め、先行きの金融政策に関してハト派的な利上げ姿勢を示しました。ロウ総裁は3月8日の講演でも、「経済状況を見極める時間を確保するため、利上げ停止が適切になる地点に近づいている」とも述べました。

実際、金利先物市場では、2023年内は残り1回程度の利上げが織り込まれるなど、RBAの利上げの終了が視野に入りつつあります(図1)。

豪州は主要国の中でも底堅い景気回復を維持

RBAのハト派姿勢の一因として、インフレ懸念の後退が挙げられます。豪州の1月の消費者物価指数(CPI)が前年比+7.4%に低下したことで、RBAは「豪州のインフレがすでにピークに達した」との見方を示しました(図2)。

一方、豪州景気に関しては、2022年10-12月期の実質GDPは前期比+0.5%に小幅鈍化しました(前期は+0.7%)。もっとも、主要国の中では、10-12月期の豪州の経済成長率は米国に次ぐ底堅さを示しており(図3)、豪州はコロナ後の景気回復で引き続き先行しています(図4)。

豪州の12ヵ月先の景気後退確率の市場予想は35%と依然として低く、引き続き、今後はインフレ鈍化と経済安定の両立が図られるかが焦点となりそうです(図5)。

利回り上昇で海外投資家に見直される豪州債

RBAによる一連の利上げに伴って、豪州の10年国債利回りは3%台後半で米国と拮抗した高水準にあり、債券投資の面で豪州債の投資妙味が高まっています(図6)。

実際、2022年には海外投資家による豪州への債券投資が安定した資金流入傾向に転じており、海外投資家による豪州債への見直しが進みつつあります(図7)。

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