2025年6月23日
スティーブン・ドーバー, CFA
チーフ・マーケット・ストラテジスト
ヘッド・オブ・フランクリン・テンプルトン・インスティテュート
米国によるイラン攻撃がもたらす影響について、フランクリン・テンプルトン・インスティテュートのヘッド、スティーブン・ドーバーが投資家にとっての要点を考察します。
この週末、米軍はイランの核開発に関連する施設を攻撃しました。これまでイスラエルとイランの対立と見られていた紛争がエスカレートしたことは、短期および中期的に世界全体へ重要な影響を及ぼす、大きな転換点となります。
具体的には、今後イランが中東の米軍事目標や同盟国の石油・ガス生産施設を攻撃したり、ホルムズ海峡の原油輸送を妨害したりするなど、紛争の拡大を試みるリスクが高まっています。
しかし当社の見解では、イランの軍事指導部と戦闘能力は、一連の紛争によってすでに著しく弱体化しています。さらにイラン指導部は、米国およびイスラエルと同時に直接戦闘に踏み切ることが、軍事的にいかに無益であるかを明確に認識しているはずです。ホルムズ海峡の封鎖を試みれば、特に中国向けを中心とする自国の原油輸出による収入源を断つことにもなります。状況は依然として流動的であり、当社は引き続きその動向を注視していきます。
とはいえ、月曜のアジア市場が開く前に原油先物価格は2%急騰し、本稿執筆時点では、株式先物は小幅ながらも大半が下落を示唆しています。市場の初動は慎重で、伝統的な安全資産へ資金が向かう動きが見られます。短期的、かつ不透明な状況下では、投資家はエネルギー関連株や世界の防衛関連株、そして金や米国債といった安全資産と見なされる資産に引き寄せられるでしょう。同じく安全資産である米ドルも小幅に上昇しています。
当社の見方では、今後は金利が低下する可能性が高まっており、高バリュエーションのグロース株には追い風となるかもしれません。原油価格が大幅に上昇しない限り、インフレへの大きな影響は考えにくいでしょう。紛争がこれ以上拡大しないことが明確になれば、市場の軟調地合いは短期的なものにとどまる可能性が高いと見ています。
もっとも、投資家はより長期的な視点から、以下の点も考慮する必要があります。
第1に、イランが攻撃から自国を防衛できなかったという事実は、むしろ同国や他地域の国々が「信頼できる抑止力」を開発したいという願望を浮き彫りにするでしょう。そしてそれは、核兵器の保有を意味する可能性が高いと思われます。地域紛争によって不安定化し、脆弱な立場にある国々にとって、抑止力としての核兵器を求める動きは、むしろ強まる一方だと考えられます。
第2に、イランが近いうちに米国へ直接反撃する可能性は低いと見られますが、いずれかの時点で、代理勢力などを通じた間接的な形で反撃に踏み切る可能性は高いでしょう。
第3に、当社が他のレポートでも指摘してきた通り、今週末の軍事作戦があったにもかかわらず、米国のヘゲモニー(覇権)が一方的に後退している現状は、多くの国や地域において国防面での不安感を高める要因となっています。世界各地で紛争リスクが高まる中、各国が国防費を増額する必要性を強めており、これは軍事ハードウェアやその基盤技術の供給企業にとって様々な示唆をもたらします。この変化はドイツを始めとする欧州諸国で明確に進行しており、他の地域においてもその勢いが増していくことが予想されます。
リスクについて
全ての投資にはリスクが伴い、元本割れの可能性があります。
コモディティ(商品)関連投資は、コモディティ価格指数の高い変動性に加え、投機的取引、金利、天候、税制・規制の変更など、追加的な要因によるリスクを伴います。
特定の国や地域に投資する戦略は、より広範に地理的に分散された戦略よりもボラティリティが高くなる可能性があります。
株式は価格変動リスクを伴い、元本割れの可能性があります。
債券は金利、クレジット、インフレ、再投資のリスクを伴い、元本割れの可能性があります。金利が上昇すると債券価格は下落します。債券の信用格付け、または発行体や保証人の信用格付けや財務力の変更は、債券の価値に影響を及ぼす可能性があります。低格付けのハイイールド債は、より大きな価格変動、低い流動性、そしてデフォルト(債務不履行)の可能性を伴います。
国際投資は、為替変動や社会的、経済的、政治的な不確実性といった特別なリスクを伴い、ボラティリティを高める可能性があります。これらのリスクは新興国市場ではより増大します。
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