2026年のプライベート市場の見通し: エグゼクティブ・サマリー

202512

スティーブン・ドーバー、
CFA
チーフ・マーケット・ストラテジスト
フランクリン・テンプルトン・インスティテュート・ヘッド

トニー・ダビドー、CIMA®
シニア・オルタナティブ・インベストメント・ストラテジスト
フランクリン・テンプルトン・インスティテュート

プリヤ・タークル、CFA
アナリスト
フランクリン・テンプルトン・インスティテュート

2026年に向けて、当社では(1)投資機会の拡大、(2)イールドカーブのスティープ化、および(3)米ドル安という3つのマクロ・テーマに注目しています。

投資機会の拡大が予想され、地域と資産クラスの両面で有望な投資機会が生じると見込まれます。イールドカーブのスティープ化が予想され、短期金利の低下を背景に、多くの投資家はキャッシュ比率を引き下げ、リスク資産(株式、クレジット、およびデュレーションの長い債券など)に投資資金を振り向けると見込まれます。米ドル安が予想され、このことは新興国の債券・株式市場の追い風になると見込まれます。また、ポートフォリオ運用やヘッジ戦略の観点から見ても、米ドル安は重要なテーマになると考えられます。

2025年の市場動向を振り返り、来年の見通しを検討すると、米国株式市場の高値更新、FRBの利下げサイクル再開、および根強いインフレが併存する市場環境にあると考えられます。世界各地で地政学リスクが高止まりしており、市場は関税の影響を十分に織り込んでおらず、その長期的な波及効果も依然として不透明な状況です。現在の市場環境を鑑みると、プライベート市場には以下のような投資機会があると考えられます。

プライベート・エクイティ:

投資のエグジット環境が改善している一方で、プライベート・エクイティのバリュエーションは低下していることから、当社は引き続きセカンダリー投資を選好しています。その理由としては、セカンダリー市場のファンダメンタルズが魅力的であり、この市場の仕組みが構造的に有利であることが挙げられます。機関投資家やファミリー・オフィスは、ポートフォリオ運用や各種支払いなどの資金需要に備えるため、流動性を必要としています。投資家の視点から見ると、セカンダリー投資には構造的な強みがあり、現在の市場環境ではそうした強みが特に重要であると考えられます。例えば、セカンダリー投資では、Jカーブ効果を短縮して投資資金を早期に回収できるメリットがあります(Jカーブ効果とは、プライベート・エクイティ投資の初期段階でキャッシュフローがマイナスとなり、その後はプラスに転じていく典型的なパターンを指します)。また、ビンテージ(組成年)、ジェネラル・パートナー(GP)、地域、業種、さらには投資ステージ(ベンチャーキャピタル(成長初期)、グロース(拡大局面)、バイアウト(成熟期))にわたって投資先を分散できるメリットもあります。

近年のセカンダリー市場では、リミテッド・パートナー(LP)主導型とジェネラル・パートナー(GP)主導型の取引がそれぞれ大幅に増加しています。2015年以降、セカンダリー市場の取引額は約5倍に増加しており、セカンダリー取引全体に占めるGP主導型取引の比率も、2015年の18%から2025年には45%に達すると見込まれています(図表1参照)。

LP主導型の取引は、流動性を確保したい機関投資家が、ファンドの持ち分を売却して資金化する取引です。一方、GP主導型の取引には、ポートフォリオ内の単一資産または複数資産をコンティニュエーション・ビークル(CV:継続ファンド)に移管する取引などがあります。新規株式公開(IPO)市場の低迷が続き、従来型のエグジット手段も低調な状況にある中で、こうしたコンティニュエーション・ビークルを活用することにより、スポンサー(ここではジェネラル・パートナー)は有望な資産への投資を継続しつつ、既存投資家に流動性を提供することが可能となります。

プライベート・クレジット:

2024年には、世界全体でプライベート・クレジット市場に流入した資金のうち、ほぼ6割がダイレクト・レンディングに向けられました。一方、2025年には新規案件の組成が大きく減少する中で、ダイレクト・レンディングに向けられた資金は全体の38%にとどまりました1。その結果、貸し手の間で案件獲得競争が激化したことから、ダイレクト・レンディングのスプレッドが縮小しており、将来の運用成績に対する懸念が高まりつつあります。ダイレクト・レンディング市場は信用サイクルの終盤に差し掛かっているように見られますが、実物資産を担保とするアセット・ベースド・ファイナンス(ABF)や、商業用不動産(CRE)デットには魅力的な投資機会があると考えられます。これらの分野は、それぞれ固有のリスク・リターン特性を備えているほか、他の資産クラスとは異なる相関性を示しています。

プライベート・クレジットの中では、商業用不動産(CRE)デットが最も有望な投資分野であると考えられます。この分野では、今後数年間で大量の借入金が返済・借り換え期を迎えるため、投資機会の拡大が見込まれます。2023年にシリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻して以降、地方銀行は資金の貸し出しに慎重な姿勢を強めているため、資金需要が十分に満たされておらず、市場に空白が生じています。不動産市場では借り換えニーズが大幅に高まっており、2026年から2029年にかけて、借り換えが必要となる不動産関連のデットは総額2兆6,000億米ドル規模に達すると見込まれています(図表2参照)。

1.  出所:ピッチブック、2025年6月30日現在。

集合住宅およびオフィスの各セクターでは、未返済の債務残高が最も大きく、特にオフィス・セクターでは厳しい状況が続いており、不動産の評価額がさらに下落する可能性もあります。こうした環境は、資金を提供する側にとっては投資機会となります。不動産の評価額が適正な水準まで低下すれば、貸し手は魅力的なリターンを享受できる可能性があります。


詳細は、レポート「2026年のプライベート市場の見通し」をご覧ください。


リスクについて

すべての投資にはリスクが伴い、元本が毀損する可能性があります。プライベート市場(プライベート・クレジット、プライベート・エクイティ、および不動産など)を対象とする投資戦略は、複雑かつ投機的であり、重大なリスクを伴うため、それだけで完結する投資プログラムと見なされるべきではありません。こうした投資は一般に流動性が低く、長期的に資金が拘束される場合があり、リターンが保証されているものでもありません。投資商品によって、そうした投資および戦略は限られた流動性しか提供しない場合があるため、投資の全額を失うことを許容できる者にのみ適しています。公開企業への投資とは対照的に、非公開企業への投資には、これらの企業に関して入手可能な情報が不足していることや、一般的に流動性が低いことに対処する必要があることなど、いくつかの課題やリスクが伴います。また、企業が証券取引所に上場することを保証するものではありません。一部の投資については、確立された流動性の高いセカンダリー市場が存在しないため、投資の市場価値や、好ましい時期や価格で投資を売却する投資家の能力に悪影響が及ぶ可能性があります。

分散投資は利益を保証するものではなく、損失を防ぐものでもありません。

不動産投資に伴うリスクには、賃貸稼働率や運営費の変動、賃料設定や賃貸契約条件の変化などが含まれますが、これらに限定されるものではありません。これらの要因は、現地、州、国、海外の経済状況により不利な影響を受ける場合があります。このような経済状況は、不動産物件に対する需給環境、用途地域規制、賃料規制法、不動産税、資金調達の利用可能性やコスト、および環境関連法などにより影響を受ける場合があります。さらに、不動産投資は、地域的懸念、政情不安、国家債務危機、および保険による補償の対象とならない損失(地震・洪水・戦争などの壊滅的イベントによる損失)に伴う市場の混乱による影響も受けます。また、不動産関連証券(資産担保証券またはモーゲージ担保証券など)への投資は、期限前償還リスクおよび期間延長リスクにさらされます。

債券には、金利リスク、信用リスク、インフレ・リスク、および再投資リスクがあるため、元本が毀損する可能性があります。金利が上昇すると、債券の価格は下落します。債券の信用格付け、または債券の発行体、保険会社、保証人の信用格付けや財務の健全性が変化すると、債券の価値に影響が及ぶ可能性があります。格付けの低いハイ・イールド債は、価格の変動が大きく、流動性が低く、債務不履行に陥るリスクが高くなります。

株式は株価の変動にさらされるため、元本が毀損する可能性があります。小型株および中型株は、大型株に比べてリスクおよび価格変動が大きくなる傾向があります。

本資料で言及されている企業名やケーススタディは、説明目的のためだけに使用されています。言及された投資対象が、フランクリン・テンプルトンが助言を行うポートフォリオにおいて、現在保有されているとは限りません。ここに記載された情報は、特定の証券、戦略、または投資商品に対する推奨や個別の投資助言ではなく、また、フランクリン・テンプルトンが運用するポートフォリオにおける取引意図を示唆するものでもありません。

重要事項

すべての投資には、元本を割り込む可能性を含むリスクが伴います。過去の運用実績は、将来の運用成果を保証するものではありません。投資の価値およびそこから得られるインカムは増減があり、投資家は当初投資した金額を取り戻せない可能性があり、金利、為替レート、市場環境全般、政治、社会、経済情勢の変化、およびその他の変動要因の影響を受ける可能性があります。さらに、不動産投資には、地域的な懸念、政治的混乱、国家債務危機、その他の要因を含むがこれらに限定されない特別なリスクが伴います。分散投資は利益を保証するものではなく、損失を防ぐものでもありません。

TOB(公開買付)やインターバル・ファンドへの投資は、すべての投資家にとって適切であるとは限りません。クローズドエンド・ファンドとは異なり、TOBやインターバル・ファンドの株式は、通常、証券取引所に上場されていません。また、ファンドの株式のセカンダリー市場は存在せず、今後も形成される見込みはありません。TOBまたはインターバル・ファンドは、定期的に株式の一部を買い戻すことで投資家に限定的な流動性を提供していますが、投資家はTOBまたはインターバル・ファンドの株式を流動的の低い投資であり、故に流動性リスクを伴う投資とみなすべきです。投資家は、定期的な株式買戻しオファーにより、保有するファンドの株式のすべてまたは一部を売却できる保証はありません。

当資料は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、個別の投資助言または証券の売買、保有または投資戦略の採用に関する推奨や勧誘を行うものではありません。また、法律上および税務上の助言を行うものではありません。当資料はフランクリン・テンプルトンの書面による事前の許諾なく複写、配布、公開することはできません。

当資料で表明された見解は運用担当者の見解であり、コメント、意見および分析は資料作成時点のものであり、予告なく変更される場合があります。 こうした見解やその想定は、市場やその他の状況により変更される場合があり、他のポートフォリオ・マネージャーや当社としての見解と異なる場合があります。当資料で提供している情報は、すべての国、地域または市場に関する、あらゆる重要な事実の完全な分析を目的とするものではありません。経済、株式市場、債券市場、または市場における、経済動向に関するいかなる推測、予想、予測も実現することを保証するものではありません。投資の価値および投資から得られる収入は、増加する可能性もあれば減少する可能性もあり、投資元本を全額回収できない場合があります。

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