米国の底堅い経済成長を支える「地方の活力」
2023年の米国経済は、米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利上げを継続する中でも、堅調な成長を維持しました。2023年通年の実質GDP成長率は+2.5%と、2022年(+1.9%)を上回る安定した伸びとなりました。 こうした米国の底堅い経済成長を支える要因のひとつとして、「地方の活力」の存在を挙げることができます。 全米50州のうち、2023年の実質GDP成長率が5%以上の州は7州、4%台の州は4州、3%台の州は5州ありました。特に経済規模が大きい主要10州の中では、テキサス州が+5.7%、フロリダ州が+5.0%、ワシントン州が+4.8%と高い成長で米国経済をけん引しました(図1)。 これらの州では、州毎に産業の多様性が経済成長を押し上げる原動力となっていると考えられます。 伝統的にエネルギー産業が集積するテキサス州では石油・ガス等の鉱業セクターが経済成長をけん引したほか、近年、観光業が発達し、人口流入も顕著なフロリダ州では消費関連や不動産などのサービス業が全般に堅調でした。また、マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムなど大手ハイテク企業が本社を構えるワシントン州では、情報通信セクターが経済成長の押し上げに大きく寄与しました(図6)。
米国の主要州は国に匹敵する経済規模を有する
米国の主要州は国に匹敵する経済規模を有しており、地域経済圏としての州の存在感が高まりつつあります。 最大の州であるカリフォルニア州の2023年の名目GDPは3.9兆米ドルと世界5位のインド(3.6兆米ドル)を上回る規模にあり、日本(4.2兆米ドル)やドイツ(4.5兆米ドル)にも迫りつつあります(図7)。このほか、テキサス州やニューヨーク州、フロリダ州、イリノイ州、ペンシルベニア州なども世界の上位20ヵ国に並ぶ経済規模を有しています。 また、連邦制を採用している米国では、各州は独自の憲法を有し、立法、司法、行政に関わるあらゆる分野で強い権限を有しています(図2)。特に各種交通網や教育、水道などの公共インフラ整備の面では、州政府やその下の地方政府が果たす役割が大きいとされ、米国の州・地方政府は米国経済の屋台骨を支える重要な存在であると言うことができそうです。
製造業の国内回帰が地方経済の新たな追い風に
また、近年、米国の地方経済の新たな追い風として、製造業の国内回帰の動きが浮上しています。 米国では2022年頃から製造業の建設支出が拡大し始め、足元では製造業の工場建設ブームが広がりつつあります。特にコンピューター・電気・電子セクターにおいてこの傾向が顕著であり、直近2024年2月時点では製造業全体の投資の57.3%を同セクターが占めました(図3)。 こうした製造業の国内回帰を後押しする要因となっているのが、米国政府による政策支援です。コロナ禍でのサプライチェーンの混乱や地政学的リスクの高まりを受けて、近年、米国政府はインフラや製造業の国内投資を促す支援策の整備を進めてきました(図4)。
半導体関連の投資は幅広い地域に分散する傾向
特に、2022年8月にCHIPS法が成立して以降、米国では半導体製造関連の投資が拡大する傾向にあります。 2020年5月以降に公表された半導体製造関連プロジェクトでは、総額3,591億米ドルの大規模な投資が計画されています。米国の半導体業界の投資はカリフォルニア州のシリコンバレーなどに集積してきた歴史がありますが、近年の半導体投資はアリゾナ州やテキサス州、ニューヨーク州など幅広い地域に分散する傾向がみられます(図5)。
民間産業の活性化と地方の活力向上の好循環
米国の各州で民間産業が活性化することは、地方の経済成長の押し上げや税収増加などを通じて、「地方の活力」を一段と高める好循環に繋がると考えられます。 実際、近年の米国の各地方経済の底堅さを背景に、州・地方政府の税収は2023年10-12月期に過去最高額を更新しました。また、州・地方政府の債務残高は2023年12月末にはGDP比11.6%まで縮小し、地方の財政状況は改善する傾向にあります(図8)。 このような州・地方政府の財政状況の改善は米国地方債の高い信用力を裏付ける要因となっており、米国の「地方の活力」が増すことは中長期的に米国地方債の投資収益の安定に寄与することが期待されます(図9)。
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