2026.08.15

Vol.1 ETFはこれからどう変わる?
~世界のETF市場の変化と、変わらない投資の原則

アクティブETFや暗号資産ETFなど、新たな商品や投資家層が広がる世界のETF市場。AIをはじめ投資を取り巻く環境も変化するなか、ETFは今後どのように進化していくのでしょうか。世界のETF市場の変化や日本の投資家への気づき、そして、変わらない投資の原則についてETFのプロが語ります。

夕日の中、根本が光る木のイメージ
HOME > 記事:Vol.1 ETFはこれからどう変わる?~世界のETF市場の変化と、変わらない投資の原則
この記事でわかること
  • 世界のETF市場で進む変化と今後の展望
  • AIを巡る投資環境とその可能性
  • 長期投資で大切にしたい考え方
ラフール・バーラーさんの写真

Q1. 世界のETF市場では、現在どのような変化やトレンドが進んでいますか?

ETFの普及は現在、非常に力強い成長局面にあります。特に大きなトレンドとして挙げられるのは、ETFの商品数がますます増えていることです。従来のパッシブ型ETFの普及が進む一方で、アクティブETFも急速に存在感を高めています。
こうした動きは米国から始まりましたが、現在では欧州やアジアでも導入が広がっています。また、暗号資産(クリプト)ETF*のような新しい商品も登場し、市場ではさまざまなイノベーションが生まれています。
つまり、現在のETF市場では、新しい商品が次々と誕生しているだけでなく、ETFを活用する新しい投資家層も着実に広がっているのです。

*暗号資産(クリプト)ETFとは、暗号資産(仮想通貨)などを投資対象とし、その価格に連動する運用成果を目指すETF(上場投資信託)です。証券口座を通じて、暗号資産に関連する値動きへの投資が可能になります。一方で、日本国内においては、現時点で暗号資産ETFの提供・販売は認められておらず、金融機関を通じた取り扱いは行われていません。2026年7月15日には、暗号資産取引に関する規制を金融商品取引法へ移管し、投資者保護や情報開示等の制度を整備する改正法が成立しており、暗号資産を巡る制度整備の動向が注目されています。

Q2. ETF業界は今後10年間でどのように進化していくのでしょうか?

この10年間は、ETFが投資手段として大きく存在感を高めた非常に重要な時期であったと思います。そして、次の10年はさらに刺激的な時代になるでしょう。ETF市場では、運用資産残高(AUM)の拡大が続き、より幅広い商品カテゴリー、新たな市場、そして多様な投資家層へと成長が広がっていくと考えています。
現在、多くの人がETFを単なるパッシブ運用の商品ではなく、「投資商品を提供するための器(投資商品を包む仕組み)」として捉えるようになっています。
そのため、今後市場に登場する新しい金融商品や投資のイノベーションも、このETFという仕組みを活用して提供されるケースが増えていくでしょう。
私は、これからの10年間でETFに対する理解と活用はさらに広がり、ETFは投資家にとってより身近で重要な存在になっていくと考えています。

ラフール・バーラーさんと取材者が対談する写真

Q3. 現在のAIを巡る投資環境をどのように考えますか?

今、AIは誰もが話題にしているテーマであり、投資の世界でも非常に注目されています。私自身も、非常に大きな可能性を秘めた局面にあると考えています。
一方で、この分野にはまだ分かっていないことも数多くあります。そのため、お客様は運用会社である私たちに対して、AIについてより深い知見や見解を求めていると感じています。
AIブームはまだ始まったばかりであり、今後さまざまな段階を経て発展していくでしょう。しかし、AIが未来を形づくる重要な技術であるという点については、多くの人が共通認識を持っていると思います。
その未来がどのような形になるのか、AIが社会や投資にとってプラスとなるのか、それとも課題も併せ持つものになるのか――その答えは、これから明らかになっていくでしょう。
だからこそ、このテーマは非常に魅力的です。私たちも、投資家とともにAIという新しいテーマについて学び、考えながら歩んでいけることに、大きな意義を感じています。

Q4. 日本への訪問を通じて、日本市場や日本の投資家について、新たに得られた気づきはありましたか?

今回の訪問では、ETFに対する関心の高まりをこれまで以上に強く感じました。特に、暗号資産やアクティブETFといった新しい分野への関心が高く、ETFの活用方法そのものが広がりつつあることを実感しました。
一方で、お客様は新しい商品やテーマだけを見ているわけではありません。既存の商品にどのような資金が流れているのか、また、他の地域や投資家がETFをどのように活用しているのかについても、非常に高い関心を持っています。
こうした点から、日本の投資家はETF市場の新たな動きを積極的に捉えながら、世界の投資家の動向やETFの活用事例も参考にしようとしていると感じました。

Q5. 長年にわたりさまざまな市場局面を経験されてきましたが、長期投資家にとって最も重要な教訓は何でしょうか?

実は、この質問の答えはある意味ではとてもシンプルです。なぜなら投資における基本的な考え方(投資哲学)は、時間が経っても変わっていないからです。
投資で大切なのは、将来の値動きを当てることではありません。むしろ、自分でコントロールできることに集中することです。
例えば、手数料の低い商品を選ぶことや、幅広く分散して投資することは自分で決められます。一方で、市場がいつ上がるか下がるか、運用成果がどうなるかは誰にもコントロールできません。
だからこそ私は、低コストで分散されたETFを長期で保有し続けることが重要だと考えています。また、退職後の資産形成など、自分の将来の目標に合わせて投資を続けることも大切です。
要するに、長期投資で重要なのは「低コスト」「分散投資」「長期保有」の3つです。そして、運用成果を予測しようとするのではなく、自分でコントロールできることに集中することが成功への近道だと考えています。

次回は、「Rahulの投資哲学とその背景」

変化する市場を見つめながら、変わらない投資の原則を大切にする。今回のインタビューからは、ETFの未来を考えるうえで、そんな視点の重要性が見えてきました。
Vol.2では、さらに一歩踏み込み、フランクリン・テンプルトンのグローバルな知見や、Rahulの投資哲学、その背景にある経験や考え方について伺います。

Top